Jiangsu Changjiang A733
Jiangsu Changjiang A733 は台湾Jiangsu Changjiang(JSCJ、JCET、江苏长晶科技股份有限公司)の汎用小信号シリコントランジスタ。NPN型。明確にうたっていないものの、型式から推定されるのは NEC 2SA733 のセカンドソース品。Jiangsu Changjiang C945 とコンプリペア。
TO-92形(EIAJ : SC-43)。2SA733 は定番の品種のため、各社がセカンドソース品を作っているが、多くのパーツ店で取り扱いがあるセカンドソース品の中での定番品。C945 では本家NEC と違って、東芝式のランク分けとしていたが、本品種では本家NEC と同じ、-R(90-180)、-Q(135-270)、-P(200-400)、-K(300-600) のランク分けを使用している。(もし本品種が 2SA733 のセカンドソースだと考えると) Cob が大きい、fT が低いなど、本家と性能はあまり類似していない。
素子のインピーダンスの高さ(定電流性の高さ)と比例するアーリー電圧が実測値で約38V と、本家NEC 2SA733 の約56V と比べて低い。カレントミラー回路など、トランジスタの定電流性を利用した回路で使用した場合、回路全体の性能に影響する。
Ic-hFE特性は素子間のバラつきがあり、Ic(Ib)によって値が動くのが気になる。1～10mA という極定電流の領域にも関わらず、Ic が増えるほど hFE が下がる傾向にある。このクラスでは特性の良い他の品種(例えば、ROHM 2SA933S など)がいまはまだ手に入るので、わざわざこの品種を指定して購入するメリットは感じられない。強いて挙げるとすれば、コストが安い(5円)ことくらいか。
同社が製造販売している Jiangsu Changjiang 2SA1015 と特性が酷似しており、わざわざ汎用品種を作り分けるとは考えづらいこと、fT がオリジナル品種に比べてかなり低いことから、同じチップをそれぞれの型式のものとしてマーキングを変えて販売しているものと考えられる。
Jiangsu Changjiang C945。Vceo ≦ 50V、Ic ≦ 100mA、Pc ≦ 250mW
Jiangsu Changjiang C945
Jiangsu Changjiang C945
Jiangsu Changjiang C945
Jiangsu Changjiang A733。マーキングは A733 / P.G18。TO-92サイズ
写真のものは、2023年に aitendo で購入したもの。hFE は Pランク(200-400)。
Jiangsu Changjiang A733。Ic-hFE特性
同一ロット品からサンプルを 5個、適当に抽出して hFE を測定したもの。Ic = 1.0mA付近の数値で、299、277、294、281、276 とまあまあバラつきあり。なお、Ic(Ib)依存も少しあり、Ic によって hFE が下がる。測定条件は Vce = 6.0V。
以下の特性は、hFE : 299 の個体を計測。
Jiangsu Changjiang A733。Vce-Ic特性
Vce-Ic特性。低電流、能動領域では Vce依存が少なく、横一直線に伸びている。Ic間も一定で、Ib依存が少ない。測定条件は Vcc = 7.0V。
アーリー電圧(VA) は約38V。
Jiangsu Changjiang A733。Vce-Ic特性(飽和領域)
飽和領域のVce-Ic特性。こちらも低圧から申し分のないキレイな特性。
Jiangsu Changjiang A733。Vbe-Ic特性
サンプル5個(hFE測定と同じ個体)の Vbe-Ic特性。測定条件は Vce = 6.0V。
(続く)
