イサハヤ電子 ISC3244AS1

イサハヤ電子 ISC3244AS1 イサハヤ電子の汎用小信号シリコントランジスタ。エピタキシャル構造、NPN型。イサハヤ電子 ISA1284AS1 とコンプリペア。ハウスナンバーだが、中のチップは三菱電機 2SC3244 と同じで、形状と Pc が異なる。

背の高い TO-92 に似た形状の 三菱電機 2SC3244 の Pc を 900mW から 600mW として、TO-92S サイズに収めたものが ISC3244AS1。イサハヤ電子は、元々、三菱電機の半導体の製造委託を請け負っていた企業で、三菱電機がディスクリート部品の製造から撤退後は、製造委託品だったものの一部をリファインしたものを自社名義で販売している。

fT が 130MHz と優秀な数値だが、これは測定条件が Vce : 10V、Ie : 10mA と他品種に比べてゆるくなっており、例えば東芝2SC1815(公称fT : 80MHz) と同じ 1mA だと 30MHz になる。逆に、東芝2SC1815 は Ie : 10mA であれば fT が 400MHz くらいある。ローム2SC1740(公称 fT : 180MHz) なら Ie : 1mA で 130MHz、Ie : 10mA で 380MHz くらいになるので他社小信号品種と比較すると 1/3 程度の性能と言える。





イサハヤ電子 ISC3244AS1-E。マーキングは 244 / 97E。SC-72サイズ(TO-92S)

写真のものは、2023年に秋月電子通商で購入したもの。TO-92 より小型の、SC-72(TO-92S) の形状になっている。hFE は一番大きい、Eランク(150-300)。

サイズが小さいために、これ以上のマーキングが難しいことはわかるが、NPN品種か PNP品種かが分からないと補修のときに困るので、せめて 4ケタ化して C244 まで入れて欲しい。





イサハヤ電子 ISC3244AS1-E。Ic-hFE特性

同一ロット品からサンプルを 5個、適当に抽出して hFE を測定したもの。Ic = 1.2mA付近の数値で、197.7、197.5、199.8、196.6、195.1 とほぼバラつきなし。測定条件は Vce = 6.0V。

以下の特性は、hFE : 197.7 の個体を計測。





イサハヤ電子 ISC3244AS1-E。Vce-Ic特性

Vce-Ic特性。低電流、能動領域では Vce依存が少なく、横一直線に伸びている。Ic間も一定で、Ib依存が少ない。品種的にはもっと Ic が取れて、Ic が 30mA を超える領域になると、右肩上がりになる。測定条件は Vcc = 7.0V。

アーリー電圧(VA) は約158V。





イサハヤ電子 ISC3244AS1-E。Vce-Ic特性(飽和領域)

飽和領域のVce-Ic特性。こちらも申し分ない特性。





イサハヤ電子 ISC3244AS1-E。Vbe-Ic特性

サンプル5個(hFE測定と同じ個体)の Vbe-Ic特性。測定条件は Vce = 6.0V。

小信号トランジスタ

(続く)