ROHM 2SD786

ROHM 2SD786 は ROHM(ローム)の低rbb'低雑音小信号シリコントランジスタ。エピタキシァルプレーナ形、NPN型。ROHM 2SB737 とコンプリペア。

素子自体が発するノイズのうち、熱雑音はベース拡がり抵抗 rbb' に依存する。rbb' が小さいほど、熱雑音の発生が小さくなる。むかしの品種ではデータシートに rbb' の値が書いてあった。

低雑音の代表的な品種、日立 2SC1775A でも rbb' : 600R ほどあって、日立製の品種の中で特に rbb' が低いと言われる 2SC2546 でも rbb' : 12R 程度。

本品種は rbb' : 4R と驚異的に小さい。これは一般に入手できる品種の中でもっとも低いレベルのもので、データシート上でこれより小さいものは rbb' : 2R を標榜する東芝2SC3329 しかない。

特に低ノイズが必要とされる MCヘッドアンプに、パラレルで用いるなどされた。(YAMAHA製など)





ROHM 2SD786-R。マーキングは D786 / S RZ。SC-72サイズ(TO-92S)

TO-92 より小型の、SC-72(TO-92S) の形状になっている。hFE は中間の、Rランク(180-390)。





ROHM 2SD786-R。Ic-hFE特性

同一ロット品からサンプルを 5個、適当に抽出して hFE を測定したもの。Ic = 1.0mA付近の数値で、271、220、252、255、220 とややバラつきあり。測定条件は Vce = 6.0V。

以下の特性は、hFE : 271 の個体を計測。





ROHM 2SD786-R。Vce-Ic特性

Vce-Ic特性。データシートに記載されたものと同じく、能動領域では Vce依存が少なく、横一直線に伸びている。Ic間も一定で、Ib依存が少ない。測定条件は Vcc = 7.0V。

アーリー電圧(VA) は約141V。





ROHM 2SD786-R。Vce-Ic特性(飽和領域)

飽和領域のVce-Ic特性。こちらも申し分ない特性。





ROHM 2SD786-R。Vbe-Ic特性

サンプル5個(hFE測定と同じ個体)の Vbe-Ic特性。他の品種と比較して、同じ Ic のときの Vbe が小さい。測定条件は Vce = 6.0V。

小信号トランジスタ

(続く)